Web決算公告最前線
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 【質問4−1】
 電子公告を行った場合、5年間継続する旨が記載されていますが、その5年間という数字はどのような根拠により提示されたのですか?
 <回答>
 電子的方法を採った場合、インターネット上で行うため、継続開示させても、企業にとってそんなに負担にならない。
 5年という年数については、他の制度との兼ね合いで決定した。具体的には商法第82条1項、計算書類の備え置き期間、証券取引法上の有価証券報告書の縦覧が5年であることから、均衡を保つために決めた。
 故に、租税債権や商事債権の時効期間は考慮していない。

 【質問4−2】
 また、このように決算公告を継続して財務情報を開示する会社に対しては、「青色申告制度」のように何らかの税軽減措置を設けて、電子決算公告サイトの維持費などの負担軽減措置を行うべきだと思いますが、そのようなことは考えていないのでしょうか?
 <回答>
 商法の立場としては、従来の官報による方法などに捉われず、決算公告の多様化を図ったのであって、どちらの方法を優遇するなどの価値観は持っていない。故に、どちらかに税の軽減措置を設けるなどの考えはない。すなわち、選択肢を広げただけである。
 また、税制度は、他省庁の管轄であるから、法務省のみで決めることもできない。

 【質問5】
 平成16年5月27日(木)に国税庁に赴き、質問したところ、主税局から電子公告を規定する商法改正が行われた際、国税庁はその立法に対してなんら要望を提出していないとの回答を受けました。
 小会社にとって利害関係者の最たるものとして「国税庁」が挙げられると思いますが、何故、本立法に国税庁が関与しなかったのですか?
 この電子公告制度をうまく用いれば、税務署に提出した決算書とその元になるべき、株主総会の承認を受けた決算書の第一段階的な検証が可能になるのですから、税務調査の負担を軽減し、行政機関のスリム化に貢献できると考えますが。
<回答>
 今回の立法は、決算公告の多様性を図る観点から行われたため、そこまで踏み込むと、決算公告を行うのはこのような方法によることが望ましいという結論を誘引することになり、利益誘導をもたらす可能性がある。従って、そのような効果があったとしても公平の観点から考えていない。

 【質問6】
 企業が融資等を受けるに当たって金融機関に決算書を提出するにしても、この制度がしっかりと根ざせば、金融機関側で、これまで問題となっていた「株主総会の承認を受けた決算書」「金融機関に提出した決算書」との整合性が第一段階で、ある程度検証できることから、社会的有用性は非常に高いと思いますが、そのような利用可能性について立法時に検討されていたのでしょうか?
<回答>
 この回答は、質問5と同様である。


 

 確かに、今回の立法においては「決算公告の多様性の確保」の観点から、官報、日刊紙、インターネットのいずれに掲載する方法を採用すべきかという議論はできないという見地も理解できます。
 しかし、電子政府化構想を加速させていくためには、制度を設けるだけではなく、この制度に実効性を持たせるための措置が必要だと考えます。
   最前線からの手紙
   官報について
   最前線からの報告1
   最前線からの報告2
   インターネット版官報への葛藤
   電子公告制度について(準備中)
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 私見ですが、たとえ、日本の電子政府化が世界で11位に上昇したとしても、それはごく一部の、官庁又は大企業や特定個人に対する評価であり、それ以外の多くの者たちがついていけずに取り残されていると考えます。
 このような現状において、「公平の見地」からいずれかの方法を是と定めることはできないというのは間違っていると思います!
 多くの中小企業は未だ、インターネット社会においてはその制度を利用できない「弱者」であり、決算公告に多様化をもたせたとしても、それは「法文上の平等」であって、実際には彼らは「弱者」故に「官報に掲載する方法」しか選択できません。
 このような現状において、現在の法制度が、私たちにはとても「公平」とは思いがたいのです。
 「公平」とは「強者」と「弱者」の間に実質的な平等を担保して初めて「公平」と称するのが、現代法の趣旨ではなかったのでしょうか?
 従って、電子決算公告の制度に実効性を持たせるためには、たとえ、特定の方法に優遇措置を設けたとしても、実質的平等を担保する見地から是認されるべきだと考えます。
 つまりインターネット上で決算公告を行う企業に対してその規模に応じた「税軽減措置」を設けるべきだと思います。
 そしてそれは、「株式会社」のみならず「有限会社」にまで適用すべきです。過去のしがらみに捉われて、「有限会社」を適用対象から外すのは本末転倒です。
 法人の外形だけ残り、実質は存在しない企業の多くは有限会社だと考えるからです。いつまで実体のない企業を整理もせずに野放しにしておくおつもりですか?
 また、何よりも現在論議されている最低資本制度を完全撤廃した場合、「株式会社」と「有限会社」の相違は組織形態のみになり、会社債権者にとって唯一の担保たるべき信用財産の額は変わらなくなってしまうのです。
 それなのに、何故、無理に区別するのですか?
 決算公告を罰則規定まで定めて義務化したのは、会社債権者保護の筈。
 区別するのは、おかしいと思います。

<法務省民事局参事官室御中>

 この度は、お忙しい中、貴重な時間を私たちの質問の回答に充ててくださり、感謝します。しかし、何卒、私たちの提案の意味をお考えくださるようにお願い申し上げます。
 決算Webは民側で、電子政府化構想を推進する役割を果たして見せることをお約束します。


       
インターネット版官報への葛藤
(次回は、インターネット特有の問題がインターネット版官報に及ぼす影響と「情報開示」の意味について私見を述べたいと思います))
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